2017年07月03日
小屋番ブログ フラワートレッキング報告 2017.07.03
7月1日(土)2日(日)イベント八ヶ岳自然と森の学校「フラワートレッキング 森から稜線の植生について」を開催しました。今年も沢山の方々のご参加いただきありがとうございます!
講師:藤森 祥平 先生(筑波大学植物寄生菌学研究室)
補佐:守屋 真美 先生(長野県自然保護レンジャー、地元山岳会所属)
補佐:北原 貴穂 先生(八ヶ岳山岳ガイド協会所属山岳ガイド)
※オーレン小屋の花の講習会は、参加者の人数に合わせて補佐をする先生を増員しています。
今回は6名~7名に1名の講師が付きます。またお世話係として小屋スタッフも同行しますので安心してお楽しみいただけるのが特徴です。
初日は、雨と強風で桜平登山口からオーレン小屋までしか行けませんでした。
夜は、高山植物のスライド講習会を開催しました。約2時間たっぷり予習、復習が出来きました。
講習会は一般の登山者も交えて、すごい人です。いつのまにか満席状態に…。
2日目、硫黄岳山頂、稜線が風速20mと言う事で、コースを変更し、オーレン小屋~赤岩の頭~峰の松目(標高2,568m)に行きました。
峰の松目のコースは、今、密かに人気があるコースです。
その理由は、
1.山頂からの景色はありませんが、少し下の『峰の松目展望台』からは南八ヶ岳の主稜線を眺める事ができます。特に、赤岳が赤く見えるのがここの魅力ではないでしょうか。
硫黄岳や赤岩の頭からも素晴らしい赤岳がみえますが、角度の違いで、赤く見えません(緑色です)風の影響を受けずに景色が見えるのもここだけです。
・今回も霧が無ければこのような景色が見えました・・・次回是非見に来てください!
(写真:左が横岳、真ん中が赤岳、中岳、右が阿弥陀岳)
2.実は、あまり知られていませんが、『峰の松目にも色々なお花が咲いています』
樹林帯だけでなく岩稜帯の花も咲いているのが魅力です。
主に山頂付近になりますが、今は、コイワカガミが群生しています。ミツバオウレン、チシマアマナ開花中。ハクサンシャクナゲ(7月中旬)、ウスユキソウ、コバノコゴメグサ、ミヤママンネングサ(7~8月)、ダイモンジソウ(8月頃)等々
(写真:コイワカガミ、ミヤママンネングサとコバノコゴメグサ)
3.オーレン小屋~峰の松目鞍部までは、『峰の松目 苔の小道』として、様々な苔があります。また赤岩の頭~峰の松目は『タンネの森(針葉樹林の森)』としても知られ、登山道が針葉樹の落ち葉でふっかふっかの道なんです。以前に植物の先生に教えていただきましたが、針葉樹の落ち葉が10cm積もるのに100年かかるそうです。
4.文学家で登山家である「日本百名山」の深田久弥先生の本の中で、『八ヶ岳の八峰の1つ』として、峰の松目が紹介されています。
その八峰と称せられるものを挙げれば、西岳、網笠岳、権現岳、赤岳、阿弥陀岳、横岳、硫黄岳、峰ノ松目。※但し、八峰については所説ありです。
新潮文庫「日本百名山」深田久弥 著
5.カモシカが多く生息している『カモシカの森』でもあるんです。
昔15年位前に、峰の松目展望台付近で、体がしっかりして、たくましく、そして穏やかな、カモシカを見た事があります。まるでジブリ映画「もののけ姫」に出てくるシシ神様のような雰囲気です。
小屋周辺は、カモシカのクロちゃん、シロちゃん、カタツノ、福ちゃんなど、親子が何代にも渡り、住みついています。
と、八ヶ岳連峰の中にひっそりとある山ですが、自然豊かな山なんです。
それでは、お待たせしました、今回のフラワートレッキングで見る事が出来た様々なお花をご覧ください。
等々、上記以外にも沢山の高山植物が咲いていました。
今回は、硫黄岳、横岳へは行けませんでしたが、森の中の様々なお花や苔を見る事ができました。写真に掲載できないような貴重な花もありました。
八ヶ岳はこれからが最盛期を迎えます。今週末から8月中旬にかけて沢山の高山植物を見る事ができます。
是非お出かけください!